一 柿 塾(いっしじゅく) 

HOME

 当会の代表をつとめる川村さんが開設した市民大学です。一柿塾の講座は地域、市民に開かれた講座
で、毎回、多彩な分野の講師をお招きます。今日、わたしたちの社会はさまざまな問題をかかえています
が、一柿塾の講座が、多くの受講者によって、人と自然、人と人、人と社会との関係を問い直し、考えてい
く「場」となればと思っています。
                             
                                                 ~みどり・山梨より


1.一柿塾について

2.2012年度「一柿塾」のスケジュール

 月日  内容
 12月8日  第5回 中島哲演さん「若狭の原発の今」
 若狭の原発群と長い間戦ってきた中島さんは、まず三つの地元という考え方を提示した。それは、立地地元、被害地元、消費地元である。再稼働した大飯原発で言えば、立地地元としてのおおい町と、おおい町よりも原発に近い地域を持つ小浜市とを比べると、小浜市は被害地元としての側面が大きい。また、消費地元である近畿圏は、和歌山県までをもふくめて被害地元と成り得る可能性がある。まことに重要な指摘だ。
 また小浜原発をストップさせた小浜市民の長い戦いの歴史も印象的だった。よく学んだ市民は、やはり強いと感じた。
 そして、脱原発への道を説く中蔦さんが、自利利他円満、小欲知足という考え方を示したことは、いかにも仏教徒らしいと思わせる提案であった。実際私たちのライフスタイルや生き方そのものを問い直さない限り、脱原発は不可能であろう。2011年9月19日の明治公園での、武藤類子さんのスピーチが思い起こされる。 
 11月11日   第4回 富山和子さん「水と緑と土、そしてお米」
 日本人の食のみならず、暮しや文化の中心に米があったことを証し、米の復権を唱える富山さんは、1989年以来「日本の米カレンダー」を制作し続けている。
 今回の講義は、2013年版のカレンダー写真とそれに付される一篇の詩を紹介しながら、日本人の暮らしの知恵や伝統を話してくださった。たとえば1月は島根県出雲市の日御崎神社。日沈宮(ひしずみの宮)として名高いこの地の、鳥居の背後に沈んでいく太陽を写し取った写真に、夜の守護神を感じる。
 また、2月の石川県輪島市の千枚田や5月の香川県小豆島の中山千枚田、また愛媛県宇和島市の遊子水荷浦(ゆすみずがうら)の段畑などに、狭い国土を有効に利用しようとした先人たちの知恵と労苦が偲ばれる。さらに10月の福岡県朝倉市筑後川山田堤の写真は、日本人がいかに巧みに水勢をコントロールしたのかを物語っている。12か月の写真一枚一枚にこめられた日本人の知恵やライフスタイルに思いを馳せる時、必然的にいまの私たちの暮らし方への反省が迫られれてくる。
 
9月12日  8月25日(土)、食政策センター・ビジョン21の安田節子さんを講師として、「食の安全を考える」と題し、主に食品の放射能汚染とTPP問題の二つについて講演していただいた。
 福島原発事故以来、食品の放射能汚染問題は深刻な状況を迎えているが、とくjに内部被曝を重視すべきであるという観点から、我が国の飲食物の放射線暫定基準値が甘く、とくに子どもや胎児への影響が大きいことを指摘された。今年4月の新基準値でも、基準値ぎりぎりの食品を摂取した場合、内部被曝量は最大で年0.9ミリシーベルトとなり、また牛乳などミックスして汚染を下げる方法は、ドイツ放射線防護協会が激しく批判しているという。
 一方、TPP問題については、国家と投資家の間に生じた紛争を解決する規定としてある「ISD条項の」危険を詳しく論じた。同条項は、外国資本を国家と対等の位置に上がらせ、外資の利益のために国家の立法行為や行政活動までが制限されるというもので、たとえば遺伝子組み換え食品の表示の撤廃などが求められてくるという。こうしたISD条項の適用範囲が、食品、自動車、通信、医療などあらゆる分野に及び、日本が外資によって蹂躙され、まったく別の国になってしまう可能性を示唆された。
 大事なことは、公正な貿易ルールのもと、安心で来る自給社会を作ることだとされるが、まったくそのとおりだと思う。 (川村記)
 
 6月14日  6月10日(日)、本年度の第二回「一柿塾」が開かれた。講師は松村髙夫慶應義塾大学名誉教授で、演題は「732部隊の史実と現代」。まず、731部隊の概略的説明から始まり、所在地、実験内容、研究史など広範にわたる2時間近くの講義であった。
 731部隊の監視は激しく、被実験者は逃亡を試みても一度たりとも成功せず、人体実験は悲惨かつ冷酷なもので、コレラ、赤痢など多種類の病原菌等による実験が試みられたが、実用の上ではペスト菌がも最も有効であった由で、ねずみによる広範囲の病気の蔓延を何度も発生せしめた。
 また、当時研究に携わった医学者たちが、戦後日本の医学界・薬業界のトップに立ってそれを支配したことを実名によって明らかにし、薬害エイズ問題の発生に及ぶ背景を知ることができた。
 なお、戦後アメリカに持ち去られた研究成果は、すでに日本に返されていることが分かり、現在防衛省と公開を交渉しているが、「確認できない」という回答が繰り返されているとのこと。さらに2011年、731部隊所属の軍医金子順一郎氏が執筆した「陸軍軍医学校防疫研究報告」が発見され、732部隊の研究実態を知る貴重な新資料として注目を浴びているが、このように731部隊の研究はまだまだ途上の段階にあり、今後もその進展が期待されている。(川村記)
6月13日   5月12日(土)、一柿塾が開講し、第一回目の講座が開かれた。講師は、塾主宰の川村晃生慶応大名誉教授。はじめに塾を開く意図が話され、つづいて「良寛に学ぶ」と題して、良寛の作品(漢詩、和歌など)を読み解きながら、彼の思想やライフスタイルについて述べられた。受講者は約30名。知足や「スロー・スモール・シンプル」に集約される彼の生き方が、金欲や物欲にまみれて生きている現代人の生活や社会にどのように生かされるべきかについて、受講者からも意見が出され、熱心に議論が展開された。
 欲について、ある受講者が、自然の中でのんびりと過ごしたいという欲を捨てがたいと述べられたが、良寛はそれを欲とは捉えていないはずで、むしろ良寛はそういう生き方を目指していたのだから、それを否定するような物や金銭への欲を問題にしていたのであろう。
 社会のシステムがまちがっている、おかしいとよく言われるが、問題はその社会を作っている人間がおかしいいという観点から出発しないと社会だって変わるはずがないのであり、そこにこうした内容の講義がなされる意味がある。
 次回は6月10日(日)杉村髙夫慶應大学名誉教授の「731部隊の史実と現代」と題する講座。(川村記)
   
   
   
   

3.「一柿塾」から ~時々の感想とご連絡